『東ベルリンから来た女』
- タイトル:東ベルリンから来た女
- 原題:Barbara
- ジャンル:映画
- 監督:クリスティアン・ベッツォルト
- 製作年:2012
- 製作国:ドイツ
- 劇中年:1980
- 要素:東ドイツ、ベルリン、医療、シュタージ、亡命
- 評価:★★★★☆
- あらすじ:1980年、東ドイツ。田舎町の小児科病院に、ベルリンから一人の医師バルバラが左遷されてくる。周囲と打ち解けず、淡々と日々を過ごす彼女には、西ドイツの恋人との生活を望んで移住申請を行い、挫折した過去があった。
- 寸評:シュタージと戦う女の物語――とまとめてしまえば勇ましいが、田舎の美しい風景のなかで展開されるこの映画は、静かで慎ましい。主人公もシュタージの役人も、特別な人間ではない。大上段な政治の言葉の代わりに、バルバラと同僚アンドレたちは小児医療の舞台で、若い人々をいかに救うか、をめぐって葛藤し議論する。当然のことではあるが、恐るべき監視国家東ドイツにおいても、人々の毎日の戦いというのは、かように各自の仕事や近所付き合いのなかで繰り広げられていたのだ。田舎に馴染まない美しさと頑なさを湛えつつ、ある種の平凡さや弱さを垣間見せるニーナ・ホスの演技が鮮烈に印象に残る。緊迫した日常を戦うひとびとの、色気に満ちた映画だ。(2014/04/27)
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エンディングで流れるこの曲のセレクトもグッド。ナイル・ロジャース曰く「ブラック・パンサー党としてアフロ・アメリカンの自由のために闘ったことや、ベトナム戦争の終焉、女性解放運動やゲイ・ムーヴメントの始まりについての思いも含ませている。そういう政治的な曲なんだよね」*1