『暗殺者の鎮魂』

  • タイトル:暗殺者の鎮魂
  • 原題:Ballistic
  • ジャンル:小説
  • 著者:マーク・グリーニー
  • 製作年:2011年
  • 製作国:アメリ
  • 劇中年:言及なし
  • 要素:CIA、メキシコ、麻薬、抜け忍
  • 評価:★★★★☆
  • あらすじ:CIAに追われる暗殺者ジェントリーは、かつて自分の命を救ってくれたメキシコの麻薬捜査官ガンボアの死を知る。麻薬カルテルの魔手がガンボアの遺族に及んでいると知ったジェントリーは、彼らを連れ決死の逃避行を開始した!
  • 寸評:麻薬カルテルに追われたジェントリーたちが逃げ込むのは、山奥の朽ち果てた館。英国冒険小説&西部劇の伝統・館立てこもりモノかと思いきや、それだけに終わらない。館での様々な攻防を描き切ったうえに、更に幾つものアクションで楽しませてくれる。/麻薬カルテルの凄惨な暴力にさらされ、古巣CIAからも徹底的に抹殺を望まれるジェントリーは、いわば非常にフィジカルなアイデンティティ・クライシスにさらされ続けている状態だ。彼はひたすらに生存の危機を乗り越えていくだけだが、彼の人物像は圧倒的に色濃く純化され立ち上がり、読者の眼前を躍動する。アクションによって人物を描く――これぞ冒険小説の醍醐味だろう。/家族や信仰を愛して疑わないガンボア家の人々と共闘するうちにジェントリーの心は徐々に変化していき、まれに吐露される心情は暗殺者としての人生を終えることすら予感させる。(少々拍子抜けの展開はあれど)これからの遍歴にも期待が高まって仕方のない、当代随一の名シリーズとなった。
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暗殺者の鎮魂 (ハヤカワ文庫NV)

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