『シャドー・ダンサー』
- タイトル:シャドー・ダンサー
- 原題:Shadow Dancer
- ジャンル:映画
- 監督:ジェームズ・マーシュ
- 製作年:2012
- 製作国:イギリス、アイルランド
- 劇中年:1993
- 要素:北アイルランド、ベルファスト、IRA、母、子供、きょうだい、MI5
- 評価:★★★☆☆
- あらすじ:MI5に捕らわれたベルファストの主婦コレット(アンドレア・ライズボロー)は、捜査官マック(クライブ・オーウェン)に脅されスパイとなるよう強制される。ターゲットはIRAに属する実の兄弟たち。折しもイギリスとの和解が進みつつあったIRA内部では、和解に反抗する一派が過激な活動を始めていた…。
- 寸評:冒頭、幼く無邪気な少女が突如負わされてしまう暴力と罪の枷がむごく哀しい。IRAの人々はみな血縁関係やご近所さんばかりで、それゆえに一人抜け出すことはできないという絶望感が際立つ。血に囚われた疲弊と倦怠を滲ませながら、MI5やIRAと渡り合う度胸や妖艶さも時折漂わせるライズボローの演技と、美しく穏やかな自然や日常の風景とが、本来なら安らぎを与えてくれるはずの日常と家族がそのまま暴力に直結することの恐ろしさを鮮烈に教えてくれる。小道具のビニールシート一枚で暴力の予感を感じさせるなど、ちょっとした表現にも光るものがある。やがて明かされる謎の内通者「シャドー・ダンサー」の正体は、本作のテーマを更に一段階深め、紛争地帯においてあまりに日常の近くに存在する地獄を描き見事だ。
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