『ラット・トラップ』
- タイトル:ラット・トラップ
- 原題:Rat Trap
- ジャンル:小説
- 著者:クレイグ・トーマス
- 製作年:1976
- 製作国:1976
- 劇中年:1976
- 要素:空港、ハイジャック、アラブ過激派、逃亡犯、マンハント、ヒースロー
- 評価:★★★☆☆
- あらすじ:ヒースロー空港に着陸した民間旅客機がハイジャックされた。アラブ過激派の獄中犯ナスードの解放を目的とした凶行だ。イギリス内務省のハイジャック対策本部長ラティマーは冷静に事にあたろうとするが、空港へ連行中のナスードが行方不明になってしまう。『ファイアフォックス』で知られる作者のデビュー作。
- 寸評:ハイジャックとマンハントとに二面で展開するサスペンスが読ませる。群像劇的に距離をもって描かれる複数の人間たちは、やや冷たく描かれる。時折事態に耐え切れず投げやりになる彼らの姿を、冷酷にも温情にも流されず淡々と描けるのが、この人の作家性ということなのかもしれない。また、事件の陣頭指揮をとるラティマーが内務省の文官であることがおもしろい。彼は第二次大戦中に対独諜報作戦にも関わっており、わずかに語られる過去のエピソードも読ませる。彼が過去の経験から現在のハイジャック犯に見出す「動機」が、時代を越えて読者にスリルを与えるスパイスとなっている。
- これもおすすめ:『オスロ国際空港/ダブル・ハイジャック』『エグゼクティブ・デシジョン』『キャプテン・フィリップス』